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消防団員与太噺

其の一
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ある日・・・・

筒先 ある日突然母親が子の所へ駆け込んできました。子がテレビを見ながらボーッッとしていた所へです。

上の娘が電話で「友達の家が大変なことになっているらしいから、テレビを見ておいて!」という事らしい。
慌ただしくチャンネルを換える母親、そこに映し出されたのは崖ぎりぎりに建っている家。

「危ないなぁ・・」その子は思いました。住所が聞こえてきます。「この近くなんだ。」
あほの子はまだ気がつきません、今にも崖くづれが起こりそうなその状況は、まだ家の中に人がいて、自分の知り合いの家だと言うことを・・・
余りの非日常のこの映像が、テレビと言う媒体と日常の状況も手を貸し、
あほの子にはドラマと化してしまいました。


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数日後、母親が子に言います。
「今K君が来ているから失礼のないように。」
あほの子は如何したら良いか解らず仕事に逃げました。
先日の“上の娘の友人”でした。
まだ、あほの子の中では他人事としか受け入れられておりません。

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何年か過ぎ、あほの子は思いもかけず“消防団員”になってしまいました。



消防署の方と話す機会が出来てきます。
昔話が出てきます。
ある日、隊員が崖崩れで救助に入った時の話が出ました。
そして、救助が失敗に終わった事、隊員自身も負傷し現場復帰を断念せざるを得なかった事、そしてそれが“上の娘の友人”に起きた最悪の災害であった事・・・


あほの子はその救助に入った隊員の方に会った時、やっと過去の災害が現実として頭に入ってきました。
あの日テレビから流れてきた映像が、今やっとあほの子の中で現実となったのです。
あほの子は思います。
助ける人助けられる人、それに携わる人全ての一人一人にそれぞれの時間が有る事を一体どれだけの人が、現実として受け入れ事が出来ているのか。
あほの子は思います、“知って欲しい!”
助けるのも助けられるのもその時だけではない事、そこからも時間は動いている事、そこから始まる時間が有る事。
その災害が有ったという事実は決して消えない事・・・










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